こんにちは、絶品いばらき編集部の花島です。
例年数えるほどしか実をつけなかった我が家の庭の小さな梅の木に、今年は何故か大粒の梅の実がたわわに実りました。今や黄色く熟し、放置すれば落ちて朽ちるのみ!なんとかせねばと、焦っていたところ…。
大洗町で1830年から続く漬物屋で、梅干を作り続けている「吉田屋」さんならいい知恵を貸してくれるかも、とお邪魔することにしました。完熟梅なら、梅干!そんな初歩的なことも、取材の途中で知ったありさまでしたが、ちゃっかり、プロから梅干作りのコツを伝授してもらいました。
でも、それは後半ご紹介するとして、実はもっと違う茨城の梅にまつわる話に出合いました。それをまず聞いてください。
話をしてくれたのは同社取締役の大山壮郎(もりお)さん。なんと8代目に当たり、150年以上続く吉田屋の若き担い手です。
茨城産の梅に関心が高まり自身も工場の裏庭で梅の木を育てることにした大山さん。「まだ小さいですけど。育てながら学ぶことはたくさんあります」とのこと。
内容はこうです。
JA土浦の千代田梅部会と連携して、「新品種『露茜(つゆあかね)』等の茨城県産梅を活用した加工品製造・販売によるとブランド化事業」に乗り出すというもの。「露茜(つゆあかね)」は、梅と日本すももを掛け合わせた新種。ひと目見ればこの名前の由来が納得できてしまう、真っ赤な果実が特徴の梅です。
ブランドの名前は「常陸乃梅」に決定。ロゴもほとんど完成しているとのことですが、さすがにまだ発表はできません。今年取れた露茜で商品化された「常陸乃梅」がデビューするのは11月、12月ごろ。
まず最初はシロップを作ります。梅の色だけで、きれいな赤いシロップになります。その後はゼリーやアイス、ソフトクリーム。お菓子屋さんを巻き込むことができれば、お菓子の分野にも進出したい!!夢はどんどん広がっています。
この事業を後押ししているのは、
経済産業省、農林水産省が、地域経済を活性化するために推し進めている「農商工等連携事業計画」。中小企業や農林漁業者が産業の壁を越えて有機的に連携し、お互いのノウハウや技術を使って協力し、新商品の開拓を促進してもらおうというのが目的です。
茨城県産の梅を探していた大山さん、生産した梅を加工してくれるところを探していた千代田梅部会。両者はこの事業を通じて出合い、今年2月に認定を取り、事業をスタートさせました。
大山さんは、同社に入社して12年目。「(吉田屋は)こんなに長いこと続いているので、変えちゃいけないのかなといいう思いが強くて、流れに逆らわず仕事をしてきた」と話します。
そんな大山さんの意識を変えたのが3年前の大震災。「このままでは、うちも、大洗も、茨城も駄目なんじゃないか」。歴史ある会社の方向性を自分なりに模索し始めた中に、茨城県産の梅で商品を作りたい!という強い気持ちがあることに気づきました。今回の「常陸乃梅」の登場は、大山さんの思いが結実したものといえそうです。
「来年の梅まつりにはその商品が並ぶと思います。楽しいですね」
さて、それでは、プロに聞いた梅干作りのコツです。
① 青い梅は駄目です(これはもしかすると常識?)。何故なら皮が硬くなるから。店頭で既に黄色くなっているのを選んでください。
② アルコールや熱湯などで、容器の消毒は、注意深く。ここを疎かにすると失敗の原因になります。
③ 減塩をしたいでしょうが、15㌫の塩分は必要です。しょっぱかったら、洗って食べるなどの工夫をするつもりで。
④ 干すとき注意。3日3晩ですが、その間丁寧にひっくり返し、まんべんなく日を当ててください。(当てすぎると褐色になってしまうので注意)
実は大山さんは数年前に、「8代目」という梅干を商品化し、梅干好きを喜ばせています。梅と塩以外何も入れないで作ります。結果、梅の味が際立ち、とにかく『酸っぱい』。おにぎりに入れたり、ご飯とよく合う、「パンチのある梅干」だそう。
8代目考案のヒット商品「スイート梅」。ガルパン仕様も人気で、今や同社主力商品に。
株式会社吉田屋
大洗町磯浜町546
電話 029-267-2069
FAX 029-266-3217
http://www.kk-yoshidaya.co.jp/