キュレトリアルアシスタントとめぐる、
茨城県北芸術祭・旧美和中学校編パート2!
前編はこちらです→https://blog.ibarakiguide.jp/placeblog/6255.html
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さて、1階から階段を上がって、2階へやってきました。
2階には、山側のポスタービジュアルや
公式ガイドブックの表紙にも登場している
落合陽一さんの作品「コロイドディスプレイ」が展示。
室内には、複数の装置が置かれています。
陽の差し込み方や天候などなどの条件によって
見え具合が違うそうなので、
見比べて見えやすい装置を見つけるのがオススメです。
装置が動き、シャボンの膜に美しい蝶が映ると、
見ていた人から「キレイ!」と歓声が。

装置や膜につい手を伸ばしてみたくなりますが、触れてはいけません
窓の外に見える風景とのマッチングもステキ。
ちなみに、展示場所を決める際、
落合さんは「ここがいい」と即決だったそうです。
「現代の魔法使い」という異名を持ち、
国内外で注目を集めているメディアアーティスト落合さん。
この旧美和中学校では、落合さんの作品が三つも展示されています。
コロイドディスプレイの隣の部屋には、暗闇で出会う幻想的な光景「モナドロジー」。
実はこの作品について、私は予備知識一切なしで見せていただいたのですが、
真っ暗な部屋の中に点滅する光が、
徐々にその姿を変え、次第に周囲がキラキラと輝く光に満たされていき・・・
その光景は、まるで宇宙の誕生のようにも感じられました。
最後にその仕組みに気がついた時の衝撃、感動といったら!
後々、調べてみて知ったのですが、「モナドロジー」は
2012年の「みなとメディアミュージアム(ひたちなか市)」にも展示され、
審査員賞を受賞していたそうです。
※みなとメディアミュージアム・・・2009年から茨城県ひたちなか市の
ひたちなか海浜鉄道沿線で開催されている現代アートプロジェクト
もうひとつの新作「幽体の囁き」は、校舎の外に・・・

2階の窓から見下ろすと、教室のように並べられた机と椅子が見えます
校庭に並べられた机と椅子に、着席してみてください。

起立、礼、着席!をやりたくなります
えっ!?誰もいないのに、話し声が聞こえます。
私が訪れたのは夕方だったのですが、
それも相まってなんだか下校時刻のガヤガヤした雰囲気みたい。
懐かしい気分を味わえました。
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2階廊下を歩いていると、突如、木の壁が登場。
ここは「木の研修室」。
これも作品か!?と思いますが、
この木の部屋自体はもともと校舎にあったのだそう。
昔から林業がさかんな美和エリアらしい、特徴的な教室ですね!
中に入ってみると、まるでカフェのようです。
「この部屋はまるごとmagmaにおまかせして
空間全体をプロデュースしてもらったんです。
居心地のよい休憩スペースになりました♪」
家具も手がけているというmagmaならではの、ステキすぎる休憩スペースです。
椅子に座って、自由に休んでOK。
私が訪れた10月某日には、
常陸大宮市内の「Sunny Side Kitchen」さんが限定出店していました!
室内で、美味しいパンと飲み物を頂けます。
※常設ではありません。11/1~11/11にも出店するそうです
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美和中学校は2015年に廃校になったばかりで、建物の状態もよく、
また、当時のまま残されているものも多いのだとか。
先に紹介したイザベル・デジューさんの展示でも備品が使われていましたが
壁に貼ってある掲示物や、
黒板に描いてあるメッセージもそのまま、なんていう教室も・・・。
そんな場所に置かれているのが、村上史明さんの作品「Fly Me to the Earth」。
飛行機の中を覗けば、不思議な不思議なフライトへ連れて行ってくれます。
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音楽室を利用して作品を展開しているのは、ハッカソンで選出されたCALAR.ink。
うわー、かわいい!
まるで絵本の中に飛び込んでいくみたいです。
小さい頃に「童話の世界に行ってみたい」と夢見た人も多いのでは?
まさにそんな気持ちです。
そして、中に入ると舞台が。私たちも登場人物のひとりになって、
物語に参加できる要素もあるみたいです。

置かれている小物など、細部に至るまで作りこまれています。
「会期中には実際に公演が行われる日もあるので、ぜひ見に来てみてください♪」
へえ~、それは面白そう!

上演予定表が掲示されていました!
11/3、4、5、6、19、20に予定されているので、
合わせてまた見に来たいですね。
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2階では、他にこんな作品も見られます。
マンガ家・山本美希さんの代表作「爆弾にリボン」の原画を使用した展示。
山本さんの作品は、日立市の常陸多賀商店街でも見ることができます。
こちらは、会期前に行われた「だいちの星座 いばらきけんぽく座」プロジェクトで
実際に撮影された写真など。
このプロジェクトで実際に制作、使用した機材が
屋上に展示されていますのでそちらも合わせて見学をオススメします。
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さあ、次は3階です。
室内に置かれた、木製の薄いボードと操作パネル。
「Sound of TapBoard」という作品です。
タップボードというからには、この上でタップダンスを踊るってことですね!
パネルに表示された中からお好みのものを選択しましょう。
ミヤタさんが選択したのは「納豆」。
足踏みするたびに、「ねちゃっ」。納豆を混ぜているような音です。
“本来、軽快で心地よいリズムを奏でるはずのタップダンスですが、
そのタップ音が全然違う音だったらどんなダンス表現が生まれるだろうか・・・?”
そんな想像を形にしたのが、色々な音を奏でるこのタップボード!
選べるサウンドはなんと全40種!(ランダム含む)
ついつい全部試してみたくなっちゃいますね。
お子さんと一緒にも楽しめそう!
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最後は、屋上です!
まず目に飛び込んできたのは、屋上から見渡せる奥久慈の山々。

だいちの星座 いばらきけんぽく座プロジェクトに使用された機材も。
そして、村上史明さんの「風景幻灯機」。
望遠鏡のように、レンズをのぞいてみてください。何が見えるでしょうか・・・

山の向こうには・・・
この作品は海側のJR日立駅にも展示されているのですが、
どちらの会場で見ていても、不思議と、
大人も子供もみんなワクワクした表情でのぞいているんです♪
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ボリューム満点の旧美和中学校レポート、いかがでしたでしょうか?
ここは市街地から外れている山間部ということもあり
「足を運びづらい」という声も聞こえるのですが、
だからこそ、ぜひ足を運んでほしいと思います。
ここまで来てよかった、と感じられる素晴らしい場所です。
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最後に、校庭を歩きながらミヤタさんに伺ったお話をご紹介します。
「校庭がとても広いので、それを活かして
もっと作品を展示しようという話もあったんですが・・・やめました。
“この風景に勝るアートはない”と。そう言ったアーティストがいました」
南條さんも感銘を受けたという、茨城県北エリアの自然美。
茨城県北で生まれ育った私にとっては、
なんていうことのない当たり前の風景でした。
昔は当たり前にあった、けれど、今はそうではない。
まさに原風景と呼べる景色です。
茨城県北芸術祭は、
県北エリアの魅力を改めて認識させてくれるきっかけになりました。
もちろん、初めて訪れた人にとっては、
魅力を知る素晴らしい機会になるはずです!
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お忙しい最中にも関わらず、
ご案内してくださったミヤタユキさんに感謝を申し上げます。
とても楽しい取材でした。ありがとうございました!
先日、来場者数30万人を突破したという嬉しいニュースも飛び込んできた
KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭。
会期終了まで、いよいよ残り1ヶ月を切りました。
どうぞお見逃しなきよう、お楽しみください♪
===KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭===
テーマ:「海か、山か、芸術か?」
会期:2016年9月17日(土)~11月20日(日)[65日間]
開催市町:茨城県北地域6市町
日立市 高萩市 北茨城市 常陸太田市 常陸大宮市 大子町