いばらきのくらし「くらしに寄り添う工芸」


投稿日:2021年02月03日   投稿者:ibaraki

今月号のブログでご紹介するのは、豊かな自然に惹かれて茨城を活動の拠点としている、個性あふれる工芸作品の創作に情熱を傾ける作家のお二人です。

 使う素材は「鉄」と「木」。お二人とも県内外での評価が高く、独自性と創造性に富む作品をつくられています。

 お二人の作品の魅力に触れ、茨城の自然に囲まれた工房での創作活動の様子などに想いを馳せてみていただければと思います。

 

 

 

  • 鍛造

鍛治工房Studio ZWEI(ツヴァイ)

日立市十王町高原416

TEL:050-8012-5102

http://www.net1.jway.ne.jp/s.zwei

 

鍛治工房Studio ZWEIは、埼玉県出身の宇田直人さんが2002年に茨城県日立市の山間に開設した「鍛造(たんぞう)」工房です。

 

「鍛造」とは、鉄などの金属を加熱し軟らかくしてから、ハンマーなどで叩いて圧力を加えて強度を高めながら成形する技法のこと。溶かした金属を型に流し込んで成型する「鋳造(ちゅうぞう)」とは異なります。

 日本では農機具や刀などの実用的な道具をつくる方法としてこの鍛造・鍛冶(かじ)技法が発達しましたが、ヨーロッパでは建築の分野で発達し、建築様式にあわせた室内外の装飾物をつくるためのさまざまな技法が編み出されたそうです。

 

 

 

宇田さんは、そのヨーロッパで伝承される鍛造の技法を修得するため、ドイツで4年間修業を積み、現地の3ヵ所の工房でさまざまな技法を学んだ方。すでに数々の受賞歴を持ち、国民文化祭いばらき2008工芸美術部門で文部科学大臣賞、第52回日本クラフト展招待審査員賞(石井千春賞)「スツール」のほか、いばらきデザインセレクションや茨城芸術祭では入賞の常連となっています。

 

 

生み出す作品は、大型なものが中心で、門扉、看板、手すり、鉄製階段、鉄製家具、ガーデン用品など。いずれも鍛造独特の重厚さが特徴ですが、受注作品のデザインについては、依頼される方の意向や使われる場面に合わせて考え、ヨーロッパの鍛冶仕事の伝統的モチーフともいえるバラをあしらった装飾的なものから、シンプルで現代的な印象もの、漢字を用いた和風のものまでを多様に表現。宇田さんの精度の高い技術がそれを可能にしています。

 

 

お客様からの注文に真摯に向き合う一方、新たな試みを発表する場として個展も定期的に開催。個展では、より宇田さん自身の感性をストレートに表現した作品を目にすることができます。また、体験学習やデモンストレーションなどにも精力的に取り組んでいます。

 

 

なお、工房には直営のショールーム「鍛冶KAGU」が併設されており、工房見学をして、オリジナルデザインの鍛造による家具、インテリア小物を見てオーダーすることができます。

古民家を改修した工房とショールームの佇まいも魅力的です。(現在は、コロナウィルス感染症対策のため見学等の受け入れを休止中です。)

 

 次回の個展は笠間回廊ギャラリー門にて、

「宇田直人 鍛造展」が2021年4月10日~22日まで開催予定です。他にも「笠間工芸の丘」などで個展が行われます。日程及び詳しくは、HPをご確認ください。

 

 

 

  • 木工草木染め

Japonica(ヤポニカ)

石岡市中戸1078

TEL:0299-43-2860

https://www.ookamiwood.com/

 

Japonica(ヤポニカ)は、千葉県出身の清水将勇さんが、2012年に美しい里山の風景が広がる茨城県八郷に構えた「木工草木染め工房」です。

 

清水さんの手による「木工草木染め」の作品は、杉の木をつかって器や家具などをつくり、そこに杉の美しい木目を生かしながら草木を使ってさまざまな色味に染めるという独特のもの。染色に使用する草木は、クチナシ、藍、蘇芳、ローズマリー、ログウッド、コチニール、栗のイガなどで、優しくも心華やぐ色合いに目を奪われます。

 

 

自然に対する清水さんの敬意が込められた柔らかな造形とシンプルながら高いデザイン性を持つ作品は全国的に高い評価を得ており、東京都内の大手デパートでの個展が開催されたり、さまざまなメディアで大きく取り上げられています。

 

 清水さんが杉の木にこだわるのは、「杉の木目が好きだから」。すでに子どものころから、寝るときに見上げる天井板の木目の形に魅せられていたそうです。杉の木は柔らかいため、染料が染み込みやすく、美しい木目を生かした染色が可能になるといいます。工房の名前も杉の学名「クリプトメリア・ヤポニカ」から取られました。

 

 Japonicaの作品は器から家具にまでおよびますが、中でも代表的なものは、「 KIKSAカップ」と名付けられた手彫りのカップ。丸みを帯びた優しく洗練されたフォルム、美しい杉の木目、そしてクチナシやローズマリーによる深みのある色彩は、まさに清水作品の真骨頂といえるものです。

 

 

 

モチーフとなったのは、フィンランドに古くから伝わるククサという白樺で作るカップで、これは使う人の幸せを願って贈るものだそうですが、まさに「KIKSAカップ」も、使うほどに毎日を豊かな色彩に染めあげてくれそうです(Japonicaの器は、食品衛生法適合のウレタン樹脂によってコーティングされているため、食器用洗剤で普通に洗え、日常使いをしても、草木染めの美しい色合いを損なうことがありません)。

 

 

 Japonicaの器や家具に興味のある方は、必ずご予約のうえ、工房をお訪ねください。

なお、定番商品は、「うつわや季器楽座」(水戸市米沢町195-3)やJaponicaサイトのオンラインショップでもお求めいただけます。